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【知識欲の沼】継父が母親と心中したとき、遺産はどうなる!?
作成日時: 2018/11/12 (月) PM 3:28
最終更新: 2018/11/12 (月) PM 3:33
最終更新: 2018/11/12 (月) PM 3:33
久しぶりの「知識欲の沼」です。
テレビドラマの「ガリレオ」の第2シーズンのどれかの話だったか、「継父(ままちち)が母親を殺してから自殺した現場を娘が外部犯の犯行に偽装して、継父のほうが先に死んだように見せかけて遺産を得ようとする」といったものがあった。
その説明としては、
外部犯の犯行の場合
継父が殺される↓
(継父の遺産は母親のものに)
↓
間をおいて母親が殺される
↓
継父の遺産が母親を介して娘のものになる
継父の心中の場合
継父が母親を殺す↓
(母親を介して娘が継父の遺産を得る権利が消滅)
↓
継父が自殺
↓
娘は継父名義の遺産を得ることはできない
と、いったものであった。
だが、実際にそうなのだろうか?
少し調べてまとめてみた。
実際は・・・
軽く調べてみたが、「外部犯の犯行」のケースでの遺産の流れは、概ね正しいと思われる。問題は、「継父の心中」のケースだ。
仮に、母親の死因が病死ならばこちらも遺産の流れは概ねこの通りなのだが、今回のケースでは、「継父が母親を殺す」という「不法行為による損害の発生」が含まれている。
ここがミソなのだ。
娘には賠償を受ける権利がある
今回のケースのように、ある人物Xが別の人物Aの故意または過失によって損害を被った場合、XはAにから損害の賠償を受ける権利を有することとなる。さらに、この権利は遺産として相続することもできるため、仮にXが死亡していたとすると、Xの子供YはAの遺産からXが被った損害に相当する金額を賠償として受け取ることができるのである。
したがって、今回のケースでは、娘は、継父が母親に対して行った殺人という不法行為によって生じた損害の一切に相当する金額、加えて、慰謝料(相場は3000万円程度らしい)を継父の遺産から得ることができるのである。
一般的な男性ならば、貯金と土地建物をトータルしてちょうど総資産3000万円といったところか。
なんだ、裁判費用などで少し目減りするにせよ、ほとんど全部もらえるじゃないか。
これでは、殺人現場を改竄するようなリスクを犯す価値などまるでない。
意外に重要なのが母親の遺産
と、まあ、継父の遺産はめでたく娘の手に渡るわけだが、母親の遺産についてはどうだろうか。まず、母親の遺産の内訳としては、継父との結婚前から持っている財産と、継父との結婚後に得た共有財産があるが、いずれも母親の遺産であることに変わりはない。
ここで、母親が結婚前から持っている財産について注目したいのだが、もし仮に、母親が独身となった理由が娘の血の繋がった父親(以下、父親)と死に別れていたのなら、母親の遺産には父親の死によって受け取った多額の生命保険金が含まれていても不思議はない。
で、この遺産の相続なのであるが、通常ならば、この遺産は子供(ここでは娘)と配偶者(ここでは継父)に均等に分配される。
だが、今回のケースでは、継父は殺人という犯罪行為によってこの遺産を得ているのだ。
果たして、継父に遺産を受け取る権利はあるのだろうか?
継父は母親の遺産を受け取れる
結論から言ってしまうと、継父は母親の遺産を相続したことになってしまう可能性が高い。と、いうのも、民法891条には
「故意に被相続人、先順位・同順位の相続人を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために刑に処せられた者」は相続権を欠格するとあるのだが、継父は直後に自殺して裁判を受けていないので、「刑に処せられた者」に当たらないからだ。
つまり、法律上は、継父の資産がちょうど3000万円程であった場合、娘は母親の遺産のまるまる半分を継父の相続権者に奪われるような形になってしまう可能性が高い。
「父親の命と引き換えに母親が受け取った財産」その価値は、その額面上の金額では計り知れないものであろう。
そう、娘の真意は「継父の遺産を得ること」ではなく、「『大切な父親の命の金』を守り抜くこと」だったのだ。
なるほど、このためならば、殺人現場を改竄するリスクを背負うだけの十分な価値があるじゃあないか。
ちなみに・・・
今回は「賠償金」をテーマに相続問題を取り上げたが、実はコレ、「罰金」だと少し話が変わってくる。賠償金とは、すなわち債権であり、借金と同様に扱われる。
それは財産の一部であり、未払いの賠償金は、相続人がこれを支払う義務を負うのだ。
しかし、罰金は違う。
それは、不法行為を行った本人をたしなめる目的のものである。
現在の法では懲役刑や禁固刑が相続されないのと同じように、罰金刑もまた、相続の対象ではないのだ。
例えば、ある人物Aがスピード違反で違反切符を切られたあと、罰金を支払うまでに急病で亡くなってしまったとする。
Aの財産の相続を終えた相続者Bがこの罰金を支払う義務があるのかといえば、ない。
豆知識程度に覚えておいて、自慢してみるのもアリだろう。
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